社会人として働き始めると、どこかのタイミングで後輩ができて自分は「先輩」になります。
早い人は1年目から「後輩指導」に悩むことになりますね。
なぜ後輩指導は難しいのでしょうか?
考えてみると理由はシンプルで
20年近く自分とは違う環境で育ってきた人間だから
価値観が違って当然というわけです。
まずそこを認識するところからスタートしましょう。
しんどい内容と対処方法
言った通りにやってくれない
個人的に後輩指導で最も感じることです。
後輩が言った通りにやらない理由としては
- 指示内容を正しく理解できていない
- 自己流でやりたがる
の2パターンが考えられます。
【1】の場合は先輩(自分)の伝え方が悪い可能性もありますので、未経験者でも理解できるようにシンプルかつ具体的に伝えるように意識しましょう。
【2】の場合は経験者と未経験者で対応の仕方が違います。
【経験者に対して】
一応やり方は伝えた上で、仕上がりが問題なければ本人のやり方に任せた方がスムーズな場合も多いです。
【未経験者に対して】
まずは現場のやり方に従ってもらい、その上で合わない、やりづらいということであれば一度本人の思うようなやり方でやらせてみるといいです。
うまくいけば認めて、うまくいかなければ今後は指示通りやるように伝えましょう。
返事や挨拶ができない
これは最初が肝心なので、早いうちにキチンと習慣にさせたいですね。
上司や先輩が全員返事・挨拶をしっかりやることがとても重要です。
特に現場のトップであるシェフができていないと後輩がやらないのも無理はありません。
挨拶ができない後輩には挨拶ができない先輩がいるケースがとても多いです。
上司・先輩も部下・後輩に見られている意識を持つことが重要。
ミスを隠す(ウソをつく)
未経験または経験が浅いと、何かミスをしたときにそれがどの程度のミスなのか判断ができません。
すぐに対処しなければいけないミスでも、後輩にその自覚が無ければ
- 「わざわざ報告することでもないかな」
- 「自分じゃないことにしてしまおう」
と考えてしまうかもしれません。
私の場合は後輩に対して
「少しでも不安や疑問を感じたらすぐに声をかけて」
と伝えておき、声をかけられたら当たり前のことでも忙しくても、決してイライラせずに丁寧に対応します。
「わからないのになんで聞かないの?」
という先輩は多いですが、誰だってイライラしている人に質問なんてしたくないでしょう。
後輩の立場になって話しかけやすい雰囲気にしてあげることが必要。
何度も同じミスをする
よくある悩みですが、これはできるまで辛抱強く何度も教えるしかありません。
当然ですが人の能力は個人個人差があり、1回で何でもできてしまう人もいれば100回目でできる人もいます。
後輩本人にミスをしている自覚があるのであれば、ペースは遅くても進歩はしているはずです。
きつい言葉で指導することはかえって逆効果になってしまう可能性がありますので、じっくり成長を待った方が結果的に大きな戦力になってくれます。
もし後輩がミスを自覚していない、または聞く耳を持たない場合にはさらに上の先輩や上司(シェフなど)に相談し、注意してもらおう。
時間にルーズ
返事・挨拶と重なりますが、まずは先輩や上司が全員時間をしっかり守っているかが重要です。
後輩には時間を守れと言いながら、自分は「仕事量が多いからしょうがない」などと言って時間を守れていないなら説得力はゼロです。
「見習いは1番早く来て準備しろ」というのもおかしな話です。
技術や経験値が違うので仕事内容が違うのは当然で、その分給料が低くなっているはずです。
早く来なければいけない理由にはなりません。
後輩だけが早く出勤しているなら、それは間違った習慣だということです。
後輩だけど年上
料理人のキャリア設計も多様化していますので、20代や30代から飲食業界に入る人も増えてきています。
この場合経験者か未経験者かで対応も変わります。
【年上の経験者の場合】
職場のルールさえ共有してもらえれば、やり方は任せてしまう方が良いでしょう。
ただ経験者でも実際は全く仕事ができない人もいますので、初めのうちはしっかりと見ておく必要がありますので注意してください。
【年上の未経験者の場合】
仕事はできなくても理解が早くて対応もキチンとしていることが多いです。
年上としてリスペクトしている姿勢を見せながら、なるべく丁寧に教えてあげましょう。
年上で仕事ができなくて聞く耳も持たないような人は、もはや若い方には対応が難しいのでシェフに相談しよう。
後輩指導のポイント
責任感を持ちすぎない
低年収で長時間労働の飲食業界で従業員に人材育成まで求めることがそもそも無理のある話です。
後輩が思うように成長してないとしても、それがあなたの責任だと感じる必要はないんです。
上司に指導方法を教えてもらう
部下・後輩の教育は必要なことですが、あなたも誰かの部下・後輩なはずです。
先輩やシェフに「後輩との接し方について教えて下さい」と遠慮せずに聞いてみましょう!
初めての子育てみたいなもので、初めての後輩との接し方は難しくて当たり前です。
全く恥ずかしいことではありません。
雇ったのは自分ではなくオーナーだと開き直る
特に小規模な職場では、人材育成の最終責任者は経営者です。
オーナーが店舗運営に必要だと判断したから雇った従業員なのですから、あなたが選んだわけではないはずです。
自分には手に負えない後輩ならば、あまり思い詰めずに「自分のせいじゃない」と開き直るくらいでちょうどいいのです。
注意する時は具体的に
例えば「もっと頭使えよ」とか「もっと早く」と言われても、後輩は何をどうすれば改善できるのかわかりません。
ある程度の経験者ならばそれでも理解できるでしょうが、未経験者や経験が浅い相手にはもっと具体的なアドバイスが必要です。
例えば
- 「A・B・Cの順番でやってみて」
- 「前回よりも5分早く終わらせて」
このように伝えれば、やることや目標が明確になるのでお互いストレスが少ないでしょう。
後輩の作業姿は常に視野に入れる
全ての仕事を手伝ってしまったり口を出しすぎるのも良くないですが、放置してもいけません。
やるべきことを具体的に指示したうえで、自分の仕事を進めながら後輩が何をどのようにやっているかを視野に入れて把握しなければいけせん。
大変ですが、自分の仕事をやりながらまわりの状況を把握することは超重要スキルです。
そして口を出すのは必要最低限にして、ある程度任せる勇気も必要です。
逆に言えば、初めのうちは最悪ミスしても大損害にならない仕事をやらせるべきということです。
可能なら仕事以外でもコミュニケーション
もちろん仕事中だけでも信頼関係を築くのは可能ですが、場合によっては半年〜1年と時間がかかることもあります。
もっと早く仕事中の信頼関係を築きたいなら、仕事外でのコミュニケーションが必要です。
理想はラーメンでも奢って話でもできたら距離が縮まり、仕事でもコミュニケーションを取りやすくなると思いますが、難しければ例えば帰りの支度をしながら少し言葉を交わすだけでも効果的です。
チームワークには会話が必要です。
誰でも「必要とされている」と感じればモチベーションは上がるものです。
まとめ
- 自分のものさしで測らずに、後輩のレベルに合わせた方が早く成長する
- 上司や先輩ができていないことを後輩に求めてはいけない
- 指示やアドバイスはもっとわかりやすく、もっと具体的に
- 上司・先輩をうまく利用して、責任を感じすぎないこと
- 後輩の仕事を常に見ている必要はあるが、口出しは必要な時だけにする
- 日頃から「君は職場に必要な戦力だ」という意識で接する
人を育てるということは本当に難しいので、うまくいくことの方が少ないです。
しかし「人に教える」ということは自分の成長にもつながるので、自分のためにも工夫しながら後輩と向かい合ってみましょう。
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