料理人の転職活動の際の面接相手は、ほとんどの場合その店の料理長です。
面接はお互いに相手を見定めるためのものですが、経験年数が全く違うのでどうしても雇う側のペースで進みます。
応募する側は緊張してうまく答えられない、聞きたいことも聞けないなんてよくありますね。
ならばせめて
- どのようなことを聞かれるのか?
- 質問にはどんな意味があるのか?
その傾向がわかるだけでも自信を持って面接に臨めます。
私は料理人経験15年の中で転職7回、面接も10回以上経験し、わずかですが採用側の経験もあります。
大手転職メディアなどの情報と違い、現場のリアルな声です。
私の経験上のよくある質問7選はこちらです。
それぞれの質問意図も解説します。
- どこに住んでいるか?
- 食事に来たことがあるか?
- 他にどこに食べ歩きや面接に行ったか?
- 現職場での仕事内容は?
- 次の職場ではどんな仕事がしたいか?
- 将来どうしたいか?
- 今の給料額は?ここでいくら欲しいか?
料理長や副料理長クラスではキャリアもかなり重要視されますが、若い料理人の場合は返事、挨拶、笑顔など、当たり前のコミュニケーションをしっかり出来ることが何よりも重要です。
私自身も後輩と接する時に強く感じます。
技術よりコミュニケーション能力が重要です。
特に若い料理人(経験5年未満位)の場合、経験や技術は大差ありませんが、コミュニケーション能力はかなり差があると感じます。
実際出来ていない若い料理人は多いです。
よく喋る=コミュニケーション能力高いではありません。
- 返事・挨拶などがきちんとできる
- 時間を守る(遅刻しない)
- 出来ないことやわからないことは正直に伝える
- 相手の立場で物事を考えられる
- 相手に好印象を与える笑顔
こういった意識すれば誰でも出来ることが本当に重要です。
面接を通してこれがちゃんとできる人間か?ということを採用側は可能な限り見定めようとしています。
それではひとつずつ見ていきます。
どこに住んでいるか?
これは、通勤が負担で辞めたりしないか?という意図で聞かれることが多いです。
片道1時間近くかかると「遠いけど大丈夫かな?」と思われる可能性があります。
別視点で言えば「ウチは終わるの遅いから近くに住んでね」なんて言われるケースもありますが、その場合ほぼ確実に長時間労働です。
「残業代は出ますか?」と聞いて出ないのならばブラック決定です。
食事に来たことがあるか?
これは、ほぼ100%聞かれます。
そして食事に来たことないのに面接来てると「どうやって判断したの?」って思われます。
ネットの写真と給料とネームバリューで判断したの?って思われるかもしれないですね。
印象は悪いです。
必ず一度は食事に行ってから面接に行きましょう。
自分のために必要な事です。
他にどこに食べ歩きや面接に行ったか?
これはきちんと料理の方向性が合っているかを見られています。
例えば転職のためにA、B、Cという3店に面接に行くとします。
この3店が、ジャンルも価格帯もバラバラだったら、どのような印象を与えるでしょうか?
どのような目標があるのか、どんな料理を目指すのかが見えてきません。
行き当たりばったりの印象を与えてしまいます。
現職場での仕事内容は?
これはシンプルに現時点でのの料理人としての実力を知りたいのです。
もちろん話しただけでは分からないので、あくまで参考程度に聞いています。
まだあまり任されている仕事が無かったとしても大きなマイナスポイントにはなりませんので、ありのままを話して下さい。
仕事ができると思って採用したら実際は全然できない、というのが一番失望されますので要注意です。
キャリアは盛らないようにしましょう。
次の職場ではどんな仕事がしたいか?
採用側は任せたいポジションをある程度決めて募集をかけています。
応募する料理人と、採用するお店の求める仕事内容にズレがないかをここで確認していきます。
例えばメインディッシュを担当したい料理人と前菜を任せたい採用側では、合致していないということです。
将来どうしたいか?
これも必ず聞かれます。
将来の目標がはっきりしている料理人は仕事の質も高いからです。
将来の目標と現在の仕事内容にズレがあると、短期退職の可能性が高まってしまうことが多いです。
若手の料理人に対しては、まず人間性はどうか?という点を見ます。
そして長く働いて成長して欲しいという思いがありますので、「短期退職しないか?」という視点でもチェックします。
今の給料額は?ここでいくら欲しいか?
だいたい話の最後に給料の話になります。
求人サイトには詳しくは出ていないことも多いので、ここで具体的な数字が出てきます。
ほとんどの場合は現在貰っている給料額と同じ額からスタートとなります。
少しでも多い額を提示してもらえたらさらに良しとしましょう。
よく求人サイトや転職エージェントで年収〇〇〇万円以上!みたいな広告がありますが、食材にこだわり、料理を一からしっかり作っているレストランは利益は決して多くありません。
飲食業は儲からない業種だ、という現実があります。
高過ぎる給料には裏があると考えて下さい。
一部に超一流店で高年収のケースもありますが、多くは大企業がコスト削減した結果の高年収です。
低コストで誰でも作れるような料理でも納得できるか?と自分に問いかけてみて下さい。
またそのような職場は少人数で営業を回すため、長時間労働のリスクも高くなります。
20代での給料を上げるためだけの転職はやめた方がいいと思います。
例えば結婚して子供がいる、などの場合はどうしても収入を増やしたい理由になるが、そうでないなら仕事内容や料理のレベルを優先した方がトータルで満足度は高いはず。
まとめ
全体的に履歴書を見ながらの世間話が多くなり、キャリアよりも人間性やコミュニケーション能力、社会人としての常識があるかを探る面接になります。
中堅以上で役職(料理長や副料理長)が付くような場合にはキャリアについても詳しく聞かれるでしょう。過去の仕事内容ですね。
面接は応募する側が会社(お店やシェフ)を見定める場でもある。「とにかくここに決めたい」と焦らずに、印象が良くなければその場で決めずに「一度考えさせてください。2,3日以内にこちらから改めてご連絡させて頂きます。」と言って、後日断りの電話をすること。
面接したからと言って入社しなければいけないわけではありません。
皆様の転職成功を祈っています。
コメント