料理人の1、2年目はとにかくよく怒られます。
学生時代やアルバイトでは考えられない位の本気の怒られ方をします……
「もっと頭使えよ!!」
「まだ終わってないの?寝てんのか?」
「ホントに気が利かねぇな!」
勤務開始1、2週間で
「うわぁ、こんなにキツいのか、、辞めたい、、」
と思う料理人も少なくないでしょう。
しかし、独立を目指すなら料理人としての実力を磨かなければいけません。
自分の腕一本で食べていく実力を身に付けるためには一流の環境で働かなければならず、いろんな意味で「厳しい」職場で仕事経験は必須。
そのためにも
- なぜ怒られるのか?
- 怒られる具体的な内容は?
- どうすれば改善できるのか?
を考えて仕事を覚え、信頼を勝ち取らなければ次の仕事をさせてもらえません。
私自身の若い頃の経験と、15年の料理人経験の中で見てきた若手料理人の仕事の悩みについてひとつずつ解説していきます!
仕事が遅い
仕事が遅い原因はいくつかあります。
作業のスピード自体が遅い
これは経験が浅いから仕方ありません。
丁寧に、正確には絶対です。その上で速さが求められます。
「早いけど雑」ではダメです。
もう一度やり直さなければならず、二度手間になります。食材ならばロスになってしまいます。
【改善方法】
まだ経験が浅いうちは「作業の早さ」というのは「質」を維持できる範囲でやればOKです。
例えば今日10分かかった仕事は明日は9分で終わらせよう、という意識で取り組めばOK!
丁寧に、という意識を維持できれば自然にスピードはついてきます。
仕事の優先順位を間違えている
これは改善できます。
私も昔はそうでしたが、若手料理人はこの間違いが多いです…
「やらなければいけない仕事は山ほどある。とりあえず思いつくものからやっていこう。」
その結果シェフや先輩に
「まだ終わってないのか!?」と言われてしまうパターンです。
【改善方法】
複数の仕事を抱えているときは、常に「何を先にやるべきか?」を強く意識しましょう。
仕事開始前に自分がその日にやるべき仕事を紙に書き出します。
その時自分なりに優先順位が高いと思う順番に書いていきます。
できればこの「やることリスト」を見える所に貼って確認しながら仕事を進めると「仕事の抜け」が無くなります。
「やることリスト」を先輩にも見える場所に貼っておけば「〇〇を先にやっといて」といった指示やアドバイスをもらえる可能性もある。
先輩目線でも、後輩の考えがわかると仕事がやりやすいです!
次にやる仕事を考えていない
ひとつの仕事が終わると手が止まってしまうのがこのパターンです。
目の前の仕事に集中するあまり
「よし終わった!次は、、」
ふとまわりを見ると状況がわからず「とりあえず洗い物でも」となり、思い出しては次の仕事をする。
仕事が遅い若手料理人の典型的なパターンのひとつですね。
【改善方法】
常にまわりの状況をチェックするクセをつけることと、前述した「やることリスト」を事前に作っておくことです。
頭の中にいつも2つ先くらいまでやることを意識すると、仕事がスムーズに進むようになりムダな動きが無くなる。
気が利かない
自分の仕事をしっかりとやるのは当然で、さらに他のスタッフが仕事をしやすいようにサポートするのも料理人のの大切な仕事です。
しかし、これは難しいです。
先輩の仕事内容を理解してないと先回りしてのサポートができません。
「あの仕込みをしてるってことは、大きなボールが必要だな」とか
「そろそろこの場所は空けた方が良さそうだ」
といった予測ができると、少しずつ先輩やシェフから信頼されるようになります。
【改善方法】
なるべく早い段階で自分の仕事を覚えて、まわりを見る余裕を持つことが大切です。
そしてシェフや先輩の仕事を観察して、仕事の流れやパターンをつかんでいきます。
すると
「この仕事にはこれを使う」
「この時間になるとこれをやる」
といったことがわかるようになってきます。
例えば
シェフは11時になるとランチ営業準備のためにソースを温める→ガス台をキレイにしておく
みたいな感じですね。
調理場の仕事はルーティンが多いので「仕事の流れ」を意識しましょう!
仕事が汚い
いつも自分のまわりにゴチャゴチャ物があふれていると、仕事が汚いという印象を与えてしまいます。
不必要な物があると
- こぼす
- 倒す
- 壊す
の原因になり、仕事が遅くなったりロスが出たりしてしまいます。
【改善方法】
その仕事に必要最小限のものしか目の前に置かないクセをつけることです。
ひとつの仕事が終わったら一度リセットしましょう。
仕事がデキる先輩を見てみよう。必ずキレイな仕事をしているはず。
賄いで怒られる
これは誰もが通る道ですね。
そして誰もが超えなければいけない壁です。
賄いでシェフに認められれば仕事もどんどん任せてもらえます。
賄いづくりは若手料理人にとって超重要任務です!
賄い料理は
- あるものを使って
- 時間までに
- 美味しく作る
ということが求められます。
特に時間通りに美味しくはマストです。
賄いに関してはシェフごとに個性があります。
- 勉強になるから、と何を使っても良しというシェフ
- 残り物で美味しく作るのプロ、といって生クリームやバターや牛肉といった高価な食材は使うなというシェフ
など様々です。シェフの個性に合わせましょう。
【改善方法】
賄い作りは総合力が必要です。
限られたスペース、限られた時間で効率良く、しかも美味しく料理を作るというのはかなり難易度が高いです。
すぐにレベルが上がるものではないので、一回一回の賄い作りに集中して、少しずつ早く、少しでも美味しく作れるよう意識をしていきましょう。
作る内容は「チキンカレー」や「ミートソースパスタ」など、料理名があるものを作るのが基本。経験が浅いうちは自分のオリジナルの創作料理みたいなものはあまり評価されない。
まずは基本を身に付けて、それから応用です。
料理に限らず何かを学ぶ時の鉄則です。
返事や挨拶で怒られる
これは意識さえすれば誰でもすぐに改善できます。
しっかりと返事や挨拶ができているかどうかは自分ではなく相手が判断します。
自分ではできているつもりでも、相手に伝わっていなければできていないのと同じです。
バカでかい声でやる必要は無く、はっきりと相手に確実に聞こえる声で、さらに明るい表情もできたら完璧!
単純なことだが、しっかりできる若手料理人はほとんどいないので簡単に大きな差をつけることができる。すぐ実践すべき。
まとめ
- 仕事が遅い→やることリストをつくる。遅い理由を考える。
- 気が利かない→まわりを見るクセをつけるといろんな事に気づく。
- 仕事が汚い→必要なものだけ出す。ひとつ仕事が終わったら片付ける。
- 賄い→まずは基本料理。段取りを強く意識する。
- 返事・挨拶→「自分ではできているつもり」ではダメ。意識すればすぐに改善可。まわりと差もつけやすい。
1、2年目は怒られて当然です。
時には理不尽な事も言われますが、そんな時は
「はい!すいません!!」
と言いながら、心の中で
「まわりを見ながら、早く丁寧な仕事をすればいい。大丈夫。大丈夫。」
とつぶやいて、落ち着きましょう。
シェフや先輩のためではなく、お客様の満足のための仕事です。
この記事を最後まで読むほど高い意識を持っているあなたは、その先輩が若い頃よりも遥かに良い仕事をしているはずです。
人間関係には相性がありますので、シェフや先輩からの指導があまりにキツイと感じるなら転職を考えるのもひとつの手です。
ギリギリまで我慢せず、余力のあるうちに転職を考えよう!
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