将来は海外でも仕事をしてみたいという若手料理人の方も多いでしょう。
行き先は
フランス イタリア スペイン ベルギー ドイツ アメリカ オーストラリア
よく耳にするのはこのあたりです。
私は2014年頃に1年間フランスのレストランで働いた経験があります。
これから海外勤務を考えている方は多くの不安や疑問を抱えていると思いますので、私の経験の範囲内ではありますが、情報の足しにして頂ければと思います。
この記事では、現地での仕事に関する内容をQ&A形式でお伝えしていきます。
現地での生活についてのQ&Aは別記事でまとめてあります。
もしこの中に知りたい事が見当たらなかったという方は、お気軽に下のコメント欄からお問合せ下さい。
可能な限り丁寧にお答えさせて頂きます。
仕事先はどうやって見つけた?
私は1年間で2つの職場で働きました。
1つ目のレストランは日本にいる間に昔の先輩に紹介して頂き、メールで交渉をしてOKをもらいました。
2つ目のレストランはフランスでの1件目のレストランでの在職中に、どうしても別の地方でも働いてみたくなってリサーチを始めました。
すると日本人向けのフランス国内の求人サイトというものを見つけました。
そこには例えば
- リヨンで中堅の日本人フランス料理人を募集
- パリで日本人ベビーシッター募集
- ニースで日本食レストランスタッフ募集
といった求人がたくさんありました。
その中で運良く希望する地方のビストロで、間も無く帰国する日本人の代わりとなる日本人料理人を募集していたので、迷わず問い合わせました。
そしてシェフからもOKが出て採用が決まった、という流れでした。
当時のサイトの名前は忘れてしまいました。申し訳ございません。
しかし、似たようなサイトを見つけたのでご紹介いたします。
こちらのサイトの求人・アルバイトから飲食・レストランを見ると、様々な地方のレストランの求人が見つかります。
働いたレストランのレベルは?
1件目のレストランはミシュランガイドのビブグルマン獲得店で、コース主体の中価格帯のレストランでした。
2件目はビストロで、星は取っていませんでしたがミシュランガイドに掲載はされていました。ショートコース主体で、中価格帯のお店でした。
働くレストランのレベルは重要です。
仕事がハイレベルなお店(1つ星以上)だと高い語学力が無いと全くついていけない。少し余裕を見たレベルを選び、語学力の無さを仕事の質と量でカバーしていた。
任されたポジション&具体的な仕事内容は?
1件目のレストランでは調理場には4人料理人がいて、料理長とそのアシスタントがストーブ前で温菜とメインを担当していました。
そして私は冷菜とデザートとパンを任されて、1人アシスタントがつきました。
ちなみにこのお店ではオーナーシェフはサービスを担当していました。
具体的な仕事内容は食材の管理や発注、仕込み、そして営業中の料理作りです。アシスタントに指示を出しながらこなしていきました。
仕事内容は日本と大きな違いは感じませんでした。
何度かシェフに求められてランチメニューも考え、実際にお客様に提供もされました!
2件目のビストロではポジションが【ストーブ前】【冷菜】【デザート&仕込み】という3つに分かれていました。
ストーブ前にシェフ+1名、冷菜とデザート&仕込みに1人ずつ。
そして副料理長が遅れているポジションにサポートに入る、というスタイルでした。
私のポジションは基本的にシェフと2人で温菜とメインを仕上げるストーブ前でした。
わずかな引き継ぎの後、勤務開始数日後には完全に一人でポジションを任されました。
日本人は私だけ。嬉しさと不安が入り混じった不思議な感覚だったのを覚えています。
営業中は付け合わせとソースの準備、簡単な肉の火入れなどを担当し、シェフの様子を見ながらとにかく必死に食らいついて料理を仕上げていきました。
その後期間は短かったですが、冷菜とデザート&仕込みのポジションも任されました。
1件目のレストランよりも料理はシンプルで、技術的に難しいと感じることはあまり無かったです。
仕事の内容やレベルは日本と大差はない。しかしひと通り覚えるまでは言葉の壁もあるため、根気強くスタッフとコミュニケーションをとる必要がある。
語学力はどの程度必要?
皆さんが1番気になるのはココだと思います。
私もどのくらい語学力があれば海外で働けるのか?というのが最も疑問で不安なことでした。
1件目のレストランは、シェフとサービスマンはフランス人でしたが、調理場スタッフは日本人でした。
しかもシェフはフランス人ですが日本で働いていた経験があり、奥様は日本人でした。つまり日本語を話せたのです。
なので仕事では日本語も使えました。外に出るとフランス語オンリーという生活でした。
語学的なハードルは低かった一方で、物足りなさも感じていましたね。
そして2件目のビストロでは日本人は完全に自分1人でした。
使えるのはフランス語のみ。
ここから本番だ、という感じでしたね。
しかし、私の語学力は決して高くはありませんでした。
料理の専門用語や食材、数字、曜日などは仕事に必須なので理解していましたが、日常会話はほとんど理解できませんでした。
簡単な旅行会話レベル、といった感じです。
仕事中にまわりを見て状況を理解することができれば、そこまで高い語学力は無くても仕事はできるというのが私の経験からの答えです。
単語を並べただけのようなヘタクソなフランス語でも、シェフやスタッフは理解してくれました。
これはあくまで私の推測ですが、外国人の中で星付きレストランの部門シェフ以上のレベルで働きたいのならば、ある程度高い語学力が必要だと思います。
料理専門用語+旅行会話程度でも充分に働ける。どうしても語学力が不安な方は、日本人オーナーシェフを探してコンタクトを取ってみるのもひとつの手。
給料は?
お金のこと、気になりますよね。
【1件目のレストラン】
住み込みでしたので、住居費と水道光熱費が引かれた額を手渡しでもらっていました。
給料額は月600ユーロ。当時のレートで84,000円ほどです。
安いと思われるかもしれませんが、当時の私は特に不満はありませんでした。
住み込みの上、賄いが1日2回ありましたので普段は食費もほとんどかかりませんでした。
【2件目のビストロ】
給料額は月1,200ユーロ。当時のレートで168,000円ほどです。
2件目で働いている時は自分でシェアハウスを借りていたので、その家賃が400ユーロ(水道光熱費込み)。
1件目と同じく1日2回賄いがあったので、1カ月に800ユーロを自由に使える状況でした。
労働時間と休日は?
1件目と2件目の職場にあまり差は無かったです。
週休2日で1日の労働時間は10時間位でした。
フランスではランチ営業が終わるとスタッフはいったん帰宅するシステム。だいたいランチ後の14時半〜18時まで自由時間。
フランスのレストランはディナー営業は19時頃スタートする事が多いです。日が長いので、夏場は20時を過ぎても日本の夕方くらいの明るさです。
アイドルタイムも何かしら仕事をしている日本とは大きく違ったので、とても新鮮でした。日本が異常なのでしょうね。
仕事に必要な物は?
- コックコート
- コックシューズ
- 黒ズボン
- 包丁
注意点は、コックコートは日本ではお店が用意してくれますが、フランスでは基本的に自分で用意します。タブリエはお店が貸してくれました。
特に指定が無ければ、シンプルな白か黒のコックコートが3着あれば良いと思います。洗濯は自分でしていました。
アイロンがけの手間を省くためにシワになりにくいポリエステル100%のコックコートがオススメです。こちらから楽天市場でチェックできます。
ズボンは2枚、コックシューズは1足でいいと思います。もし必要なら現地で買い足しましょう。
包丁は牛刀・ペティ・筋引き・出刃の4本を持っていき、全て使いました。
最低でも牛刀とペティナイフは持っていきましょう。
現地で転職はできる?
できます。しかし、きちんとシェフに相談してOKをもらう必要があります。
フランスでも日本人のバックレはたまに耳にしました。
「日本人料理人」の信頼に直結してしまうので、絶対にダメです!
もし引き止められても、「どうしても他の店、他の地方でも経験を積みたい」と真剣に伝えれば理解してもらえる。できれば最初の問い合わせの段階で希望を伝えておくと後々スムーズ。
現地での転職手段は、「仕事先はどうやって見つけた?」でもお伝えしたようなサイトを利用するか、TwitterやFacebookなどのSNSをチェックして求人しているお店を探すかが現実的かと思います。
日本で何年修行してから行った?
日本で8年間経験を積んでからフランスへ行きました。
調理場の仕事はある程度何でもできるという自信がある状態です。
料理人経験2〜3年で語学力も低い状態で海外へ行くと、何もできる事がありません。
語学力か料理人としての実力、どちらかが無ければ海外で仕事をするのは難しいと思います。
職場に自分以外の日本人はいた?
1件目のレストランでは日本人は私を含めて4人。
2件目のビストロでは私以外に日本人はいませんでした。
日本人スタッフがいる店を探すのは可能ですが、日本人がいない店を探すのは難しいと思います。
人気の国や都市の有名レストランでは、すでに日本人が働いているケースが多いからです。
「日本人がいない方がいい」というのであれば、1人しかいない日本人料理人と入れ替わりで働くというパターンを狙おう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
海外での仕事は憧れもありますが、同じくらい不安もあるものです。
もし他にも疑問に思うことや不安なことがあればお気軽にコメント欄からお問い合わせ下さい。
可能な限り丁寧にお答えさせて頂きます。
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