「本場の料理」に触れるために海外勤務を希望する料理人は多いと思います。
今回は海外で働くことを考えた時の、日常生活に関する疑問や不安にQ&A形式でお答えしていきたいと思います。
現地での仕事に関するQ&Aは別記事でまとめてあります。
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できる限り丁寧にお答えさせて頂きます。
どの程度の語学力が必要?
私は日本で1年間、週に1回1時間のペースでフランス語会話教室に通って基本的な会話をフランス人から学びましたが、今はYouTubeでも良質なコンテンツがありますので、お金をかけずとも基本的な会話を学習できます。
細かな文法などは気にせず、とにかくたくさん聞いてたくさん話す。これを繰り返すことをオススメします。フランス語は聞き取りと発音がとても難しいです。
もし聞く・話すが苦手でも、ある程度の語彙力があると買い物や観光であまり苦労せずに行動できるようになりますので、語彙力はしっかりと身に付けておきましょう。
また、生活の中では仕事中よりも語学力のハードルは下がります。
もしわからないことがあっても、今ならスマホの翻訳アプリなどでゆっくり調べれば問題ないです。営業中の調理場ではそんな時間ないですからね。
かなり海外生活のハードルは低くなっています。
私はフランスで1年間生活しましたが、英語はほぼ使わずにヘタクソなフランス語だけで過ごしました。
英語もあまり得意では無かったので、、。
都市部の駅やホテルではフランス語だけでなく英語も通じるが、田舎だと英語が通じないこともある。「旅行会話レベルのフランス語」は学習しておこう。
日々の生活のために現地では何を買った?
日常的にスーパーなどで買っていたもの
ほとんどが食飲料品です。具体的には
パン チーズ ヨーグルト パテ ハム キャロットラペ タブレサラダ お菓子 ミネラルウォーター 炭酸飲料
フランスはパンや乳製品、惣菜が本当に美味しく、そして安かったので、外食しない日の食事もとても楽しみでした。
私はお酒は飲みませんでしたが、ワインも安くて美味しいものがたくさんあります。さすがフランスって感じです。
日常的ではなく、数ヶ月に1度購入したもの
これらの物は必要に応じて購入しました。
コンタクトレンズの洗浄液 靴下 洗濯洗剤 シャンプー 日本へのお土産
コンタクトレンズの洗浄液は薬局で売っていました。
靴下は持って行ったものが破れてしまったので購入しましたが、それ以外の服や靴などは日本から持って行ったもので1年間過ごしました。
日本へのお土産で買ったもの
- お土産屋さんのベタな置物
- 地方名産のリネン
- モノプリのエコバック
特にモノプリ(MONOPRIX)というスーパーで売っていたエコバックは安くて(1ユーロ位)種類も豊富で、デザインもとてもオシャレなのでお土産にオススメ。小さくて軽いのでスーツケースにも入れやすい。
どれくらい旅行や食べ歩きに行った?
旅行と食べ歩きはセットでした。
近隣への小旅行は1〜2週間に1度位の頻度で行っていました。
休みの日の朝10時頃電車やバスで目的地へ向かい、街を散策しながらランチのお店を探しました。
郷土料理を食べられそうなお店でランチを食べて、サクッと観光名所をまわって帰る、というのがお決まりコースでしたね。とても楽しかったし、勉強になりました。
フランスでは5週間ほどのバカンス(有給休暇)が法律で保証されていて、制度はあるけど休みづらい日本と違い、皆しっかりと休む。
私も2回、合わせて2週間ほどのバカンスをもらえました。
その間には、普段は行けない遠方への旅行も楽しめました。
具体的には
- パリ(郊外のヴェルサイユ宮殿含む)
- リヨン(美食の街)
- マルセイユ(ブイヤベース!)
- ボルドー(もちろんワイン)
- ストラスブール(欧州議会本部&美しい街並み)
- バスク(美食の街)
ずっと行きたかった憧れの場所に観光・食べ歩きに行きました。
住まいはどうした?家賃は?
私はフランスでの1年間で2つの職場で働きましたが、どちらもシェアハウスのようなスタイルで、スペックはほぼ同じでした。
特徴は
- リビング キッチン トイレ 洗面所 シャワー 洗濯機 冷蔵庫が共用。
- 冷蔵庫は中を区切ってシェア。
- 8畳ほどの鍵付き個室にベッド イス テーブル タンスがある。
- 水道光熱費は家賃に含まれる。
1件目のレストランは住居費&水道光熱費が引かれた額を給料として受け取っていたので、家賃の額は不明でした。
2件目のビストロでは、職場を紹介してくれた日本人料理人が住んでいたシェアハウスを、そのまま引き継いで住めるとのことでした。
家賃は水道光熱費込みで400ユーロでした。
駅や商業施設も近く、便利な住まいでした。
自炊するの?
同じお店で働く同僚とのシェアハウスの場合は、夜の営業後に簡単な料理を作って皆でよく食べていました。
パンやチーズ、サラミなどをつまむだけの日もありましたね。
しかし、フランスでは1日に2回(11時頃と18時頃)の賄いが多いようなので、自炊の機会は少なかったです。
1か月の生活費は?
円換算すると
- 食料品15,000円
- 日用品2,000円
- 外食25,000円
- 交通費5,000円
もちろん毎月バラつきはありますが、おおよそこんな感じでした。
残ったお金はバカンス用や帰国後のために貯めていました。
交通費は通勤ではなく、観光と食べ歩きのためです。
現地の銀行口座は必要?
勤務先の給料支払い方法次第です。
私の場合は1件目のレストランでは手渡しでした。
2件目のビストロでは最初小切手で支払うと言われましたが、私は銀行口座を持っていなかったのでシェフにお願いをして現金手渡しに変えてもらいました。
私は1年間で帰国すると決めていたので銀行口座は作りませんでしたが、特に不便は感じませんでした。
もし職場に銀行口座を作るように言われたら、シェフや同僚に教えてもらいながら口座開設をしよう。
治安はどうだった?
治安は日本よりは確実に悪かったです。
フランス生活中に私は大きな被害はありませんでしたが、過剰なタクシー料金を請求されたり、明らかに警察官ではない人にパスポートを見せろ!と言われたりしました。
同僚の料理人は電車で寝落ちしてしまって、カバンごと盗まれてしまいました。
海外では自分は外国人であり、日本人は狙われやすいという自覚を持たないと危険。スリや置き引きは日常茶飯事。油断は禁物。
怪我や病気をしたら?
海外旅行保険に入っておくのは当然なのですが、それでも言葉の壁もあるので、とにかく健康に気をつけて過ごすことを意識しましょう。虫歯はしっかり治しておくこと。
危険そうな場所には近づかない、お酒のトラブルに注意するなど、まずは自分にできる予防策はしっかりとやりましょう。
それでも怪我や病気をしてしまったら、無理せず勤務先のシェフに相談する。加入している保険や支払い方法も確認しておく。
SNSって必要?
私はフランスに行く前まではSNSは何もやっていませんでしたが、渡仏後に同僚の日本人から
「情報収集や情報交換ツールとしてやった方がいいよ」
と教えてもらい、Facebookを始めましたが、やってよかったと思っています。
日本の友人に近況報告もできるし、フランスの日本人料理人とも繋がれます。
フランス人のシェフや同僚、友人と繋がれれば、帰国後もコミュニケーションが取りやすいです。
Twitterもとても有効に使えると思います。
FacebookやTwitterは海外生活では欠かせない情報収集&情報交換ツール。積極的に活用して情報の輪を広げよう。
クレジットカードは必要?
海外生活でクレジットカードは必須です。
ホテルや飛行機、列車の予約などはほぼ全てカード決済でした。
- 私はフランスで銀行口座を作らなかったので、日本の銀行口座にある程度お金を入れておき、カード払いの際はそこから引き落とされるようにしていました。
- 現金手渡しで受け取っていた給料は日々の生活費とレストランでの支払いに使い、ウェブ予約が必要なものはクレジットカード払いにしていました。
もしまだクレジットカードを1枚も持っていない方は作っておきましょう。会社を辞めると審査が通りにくくなりますので要注意です。
まとめ
私は30歳でのフランス料理修行が初めての海外、初めての飛行機でした。
不安もありましたが、「フランスで生活してみたい」という思いが強かったので、勇気をもって行動できたのだと思います。
海外の主要都市には多くの日本人がいますので、困ったときには遠慮せずに助けを求め、困っている人は助けるということが大切です。
もしこの記事の中に知りたいことが見当たらなければ、お気軽にコメント欄からお問い合わせ下さい。
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