料理人になる前にチェック!失敗しにくい最初に働く店の選び方

料理人として働き始める時、どのように最初の店を決めたらいいのでしょうか?

  • ミシュラン星付き店
  • 有名ホテル
  • 給料の高い店

魅力的に見えるのはこの辺りですね。

しかし、ネームバリューだけで決めてしまうと短期退職につながることが多いです。

そこで今回は、15年の料理人経験から私なりの考えをまとめました。

結論から言うと

料理人デビューには中価格帯の中規模優良個人店を選ぶべき

というのが私の考えです。

理由はこちらです。

  • 扱える食材と任せてもらえる仕事内容のバランスがいい
  • ベテラン・中堅・新人のバランスがいい
  • 「自分の店」という意識が身につく
  • 仕事内容が偏りにくい

まだ飲食業界のこともわからない中で、働くお店を選ぶ基準すらわからないというのが現実でしょう。

理由を見ていく前に絶対に間違えてはいけないポイントが、独立を目指すのか、目指さないのかということです。

独立というのは、オーナーシェフや出張料理人など、雇われずに働くということです。

「独立なんて絶対しない!」

「飲食業界は好きだけど独立は全く考えず、ずっと会社員として飲食店で働き続けたい!」

料理人になると決めた方で、はっきりとこのような意志がある方はレアケースだと思いますので、今回はなんらかの形で独立の意志があるという料理人の方向けの内容です。

あくまで始めの時点の考えでOKです。

なぜ中価格帯なのか

ここで言う中価格帯とは、だいたい

  • ランチで客単価2,000〜4,000円
  • ディナーで客単価4,000〜8,000円

をイメージしています。

低価格帯の店がオススメできない理由

原価を抑えるために扱える食材が限られてしまうことが一番の理由です。

例えば、1000円以下でランチを出そうとすると、牛肉、子羊、鴨などはほぼ使えません。ほぼ鶏か豚。魚も限られた種類のみです。

料理人として経験を積む大切な時期に、同じような安価な食材ばかりというのは大きなハンデになっていまいます。

高級店がオススメできない理由

扱う食材が高級すぎて触らせてもらえない可能性があるからです。

別記事で詳しくまとめてあります。

私がミシュラン1つ星店の部門シェフを務めていた時、店には1年目の見習いコックがいましたが、魚の下処理から肉のそうじまで私の仕事でした。

シェフは高価な食材を、技術が未熟な見習いコックに触らせたくなかったのです。

扱える食材のバリュエーションと任せてもらえる仕事内容のバランスが一番いいのが中価格帯のお店。

なぜ中規模店なのか

中規模店とは、席数25〜50席位のイメージです。

小規模店がオススメできない理由

個人店は25席以下の場合も多いですが、その場合調理場をシェフ+1名の2名体制で回しているケースも多いです。

プラス1名が見習いコックだと、シェフはほぼ全ての仕事を自らやらなければなりません。

小規模すぎると教えている余裕もないのが現実です。

なので調理場2名体制の店はある程度経験のある料理人が必要になるため、そもそも未経験者は採用されにくくなっています。

かなりのレアケースだと思いますが、シェフの教え方が上手く、見習いコックのやる気や意識が極めて高い場合は成長は早いでしょう。

50席を超えるような大型店はそもそも個人店では少ないです。なので次の「企業型よりも個人店」で説明しますね。

中規模店はベテラン・中堅・新人のバランスがいいケースが多い。

企業型よりも個人店がいい2つの理由

個人店というのは、オーナーシェフの店という前提でお話しします。

自分の店という意識が身に付く

企業型のレストランはシェフや店舗マネージャーも経営者に雇われている立場です。

つまり、自分の店じゃないということです。

  • 料理の完成度
  • 食材へのこだわり
  • 備品を大切にする気持ち
  • 掃除のレベル

これらは雇われシェフよりもオーナーシェフの方が意識が高いです。

「自分の店」だから当然です。

15年の料理人経験の中で強く感じました。

最初に働いた店の仕事レベルが、自分の基準になっていきます。

料理人として高いレベルの仕事を覚えたいなら、個人店(オーナーシェフの店)一択です。

経営に関することは企業型店のほうが学べることは多いですが、何年か経験を積んでからでも全く遅くありません。

幅広い仕事が経験できる

個人店では大型店舗は少ないため、少ない人数でお店をまわす必要があります。

そのため、一人一人に幅広い仕事をやってもらうことになります。

大規模店がオススメできない理由と重なる所でもありますが、企業型飲食店では担当外の仕事をする機会が少ないため、覚えられる仕事内容が限られてしまうことが多いです。

特に接客のスキルが身につかないケースが多いと思います。

例えば100席のレストランの調理場で働くとなると、担当部署が細かく分けられます。

見習いコックがわざわざお客様に料理を持って行く理由が無いんです。

将来なんらかの形で独立を考えるならば、接客スキルは必須です。

ある程度キャリアを積んでいくと接客をする場面がどんどん少なくなります。部署異動でもしない限り、大規模店や結婚式場、ホテルなどでは若いうちに接客スキルは身に付きません。

大規模店だと新人に仕事を教えるのが2年目の料理人のケースも多いが、中規模店ならば中堅・ベテランに直接教えてもらえる可能性が高い。どちらが質の高い仕事が身につくかは明白。

優良店をどうやって見分ける?

ここが一番抽象的ですよね。はっきりとした判断基準がありません。

お客さんが入っていて繁盛していることは大前提です。ヒマな店では成長できません。

加えて私なりの「高確率で当たる」判断基準をご紹介します。ポイントは3つです。

お店が綺麗である

新しい、古いではありません。キチンと掃除が行き届いているかということです。

単純に掃除の意識が低いのは論外ですが、忙しすぎて掃除に手が回らず、目立たない所は汚れが放置されてる店は多いです。

そういう店は効率の悪い仕事をしていて、長時間労働の確率が高くなります。

実際に食事に行って、見える範囲でトイレやバックヤードをチェックしてみて下さい。

調理場の近くでなんとなく油の劣化した匂いがしたり、モワッとした下水臭さがある場合はアウトです。

スタッフの表情が良い

ここは判断が難しい所ですが、意識をしてチェックしてみましょう。

働いているスタッフの雰囲気や個性を見ると、自分に合いそうかどうか、参考にはなるはずです。

ひとつひとつに丁寧な仕事がされた料理

料理人として成長するためには「丁寧でキレイな仕事」を身に付けなければいけません。

  • 野菜の切り方が雑になっていないか?
  • 盛り付けがきれいで丁寧か?
  • お皿が汚れていないか?
  • 熱いものは熱く、冷たいものは冷たく提供されているか?

厳しい目でチェックして下さい。

値段の高いディナーではなく、ランチで充分です。

これらの優良店を見分ける3つのポイントは一店舗見ただけではなかなか判断できない。予算と時間が許す限りなるべく多く食べ歩きをして、見る目を養う必要がある。

まとめ

長くなりましたが、独立を意識している料理人が最初に働くお店を選ぶ時の注意点と判断基準をご紹介してきました。

  • 扱える食材と任せてもらえる仕事内容のバランスがいい
  • ベテラン・中堅・新人のバランスがいい
  • 「自分の店」という意識が身につく
  • 仕事内容が偏りにくい

以上の理由から、料理人デビューには

中価格帯の中規模優良個人店がオススメ

というのが私の結論です。

食べ歩きの中でなかなか優良店が見つからない時は、飲食専門転職エージェントに相談してみて下さい。完全無料で利用できます。

「こんな考え方もあるんだな」くらいで丁度いいと思います。

皆様の判断材料のひとつにしていただければ幸いです。

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